-The parts of 103-
 グロベン
最終更新日
 2018年01月21日

■グロベンとは?
 グローブ型ベンチレーターの略称。電車の屋根上に設置される通風器の一種で、外観が球形(globe)であることからこのように呼称される。

■超簡単略史
 国電で本格的にグロベンを採用したのは、1944(昭和19)年に登場した63系電車である。それまでの国電は、客車と同じガーランド型ベンチレーター(通称ガラベン)を使用していた。ガラベンは、走行中の空気の流れを利用して車内の空気を吸い出す構造だが、蒸気機関車牽引でのんびり走る客車向きで、電車のように高速運転する車輌では高速域での換気が満足に行えない欠点があった。電車の混雑が激しくなってきたため、1935(昭和10年)頃からガラベンを3列に増設する窮余の策が取られたが、抜本的な解決を図るべく登場したのがグロベンである。
 以降、101系や103系にまで引き継がれるロングセラーになったグロベン。ガラベンを搭載した63系以前の国電も戦後に行われた更新修繕の際に原則としてグロベンに換装されたほか、初期の111・113系、401・403系、421・423系や155系、キハ30・35・36(除500番代)、一部のEF15やEF16にもグロベンが採用された。

■構 造
 従来のガラベンに比べて以下のようなメリットがあった。
1.換気量が多い
 ガラベンに比べて屋根の開口面積が広いので、比例して換気量も多くなる。
2.走ってもよし、止まってもよし!
 走行中は空気の流れを利用して車内の空気を吸い出す(吸い出された分、新鮮な空気が窓から車内に入る)、また停車中も煙突効果(温かい空気は上に上がる→グロベンから車外に自然排出される→排出された分、新鮮な空気が窓やドアから車内に入る)を利用した換気を行う働きもの。
3.シンプルな構造
 煙突状の筒の上部に雨水の浸入を防ぐ傘を取り付け、その周囲にやはり雨水浸入防止の帯状の金属を巻いただけ。お値打ち品だったのかも...

■余 談
 国電に席巻したグロベンも、四角い車体に丸い機器は似合わないためか、私鉄での人気はイマイチ。その中で大々的にグロベンを採用したのは西武鉄道。国電でも1979(昭和54)年に新製された201系(900番代)が、箱型の押込型通風器(走行中に車外の風を直接車内に導く構造)を搭載して脱グロベン≠果たしたなか、同社は1979(昭和54)年製の2000系まで脈々とグロベンを載せ続けた。さすがに同時期に東急車輛で製造された101系からようやく箱型通風器を搭載するようになったが、その通風器は一見押込型に見えるも、機能はガラベンそのもの(よく誤解されていますが、同車の通風器は押込型ではなく吸出式です)。な〜んと、脱グロベンを果たした101系が搭載していたのは、近代化されたガラベン≠セったというオチ。西武鉄道は、この近代化されたガラベン≠ェお気に入りらしく、平成になって新製された電車にもきっちり搭載しています(2012年以降、順次撤去)。


グロベン
 上から覗いてみました。
P:戸部 幸夫


グロベン (クハ103−129)
 真横から…。
P:戸部 幸夫


グロベン(裏側)
 
裏側から見るとこんな感じです。
P:戸部 幸夫


▲宮城野車(仙石線用)のグロベン撤去後
P:戸部 幸夫

クハ103−2551
 パンタ台跡にグロベンが設置されている。
P:戸部 幸夫


サハ103−800番代のパンタ跡
 パンタ台跡にグロベンが設置されている。
P:田中 將貴

AU712冷改車の扇風機カバー(モハ102−218)
 AU712冷改に伴い、冷房機本体と静止型インバータ(SC24)設置に支障するため取り外されたグロベンの跡には写真のようなカバーが取り付けられた。
P:戸部 幸夫

▲【番外・その1】福知山運転所所属113系の防雪カバー (クハ111−811)
 降雪時、走行中にグロベンの傘の下に溜まった雪が室温で溶けて、車内に水滴が垂れる事象が発生したため進行方向に防雪カバーを取り付けたもの。クハ111−811は僚車812と共に下関所に転出、末期にはご丁寧に防雪カバーが外されていた。
P:戸部 幸夫

▲【番外・その2】西武鉄道の『押込型通風器風ガラベン』
 一瞬見た目は押込型通風器だが、機能はガラベンそのもの。
 右側中央のルーバーのある部分が車内に通じていて、走行中に通風器正面(写真左側の網が貼られた部分)から入った外気は、通風器内を通って90度横に排出され、通風器から排出された空気と走行風がぶつかることで生じるルーバー付近の負圧を利用して車内の空気を吸い出す仕組み。
P:戸部 幸夫


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